2,用語の意味をとことん理解すること

2.用語の意味をとことん理解すること


 用語の意味を理解しないまま,ただ何となく学習している人を多く見かけます。ひどいケースだと,単元の名前の意味さえ分かっていません。
「電流が何なのか分からないけど,オームの法則を使った計算だけはできる」「関数とは何なのか理解しないまま,一次関数の問題を解いている」。これでは,どんなに頑張っても学習は深まりません。それどこか,小手先だけの解法のテクニックという,「考えない学習」へと陥ってしまうでしょう。

 科目を問わず,用語の意味をまず理解して下さい。そうすることで,自分が勉強している単元の全体像がイメージされ,教科書や参考書の説明の一字一句が頭の中に入りやすくなるのです。


 とはいえ,用語の意味も暗記なのでは?と思っている人もいるかもしれません。好例を示しましょう。
 「(ある数の)絶対値とは,何を意味するのか?」という問いに,皆さんはどう答えますか?

「符号をとった数」という答えは最悪です。絶対値の「意味」を聞いているのであって,「絶対値の求め方」を尋ねているのではありません。
 「数直線上における,0からその数までの距離を表している」と答えられた人は,一応合格。ただ,これでは“絶対値”という用語と“数直線上における,0からその数までの距離”という意味とを「覚え」なければなりません。両者の間に「文字」としての関連性や共通点は何もありませんね。このままだと暗記に成り下がってしまいます。

考える学習では,「絶対値」という“漢字”の意味にこだわります。絶対値というのは,その数が持つ「絶対的な値(あたい)」なのです。絶対的とは,「どんなことがあっても」という意味。数直線上に表される数は,正の数であっても負の数であっても,共通の「絶対的な値」を持っています。それが「0からその数までの距離」のことなんですね。

 教科で使われる重要な用語は,ほとんどが漢字で書かれています。だとしたら,用語の意味を教科書などの記述そのままに覚えるのではなく,漢字が持つ本来の意味から理解しましょう。私たちが言う「用語の意味を理解する」とは,こういうことなのです。


3へ続く



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